| ムク木コラム |
![]() |
戻 る |
|
過剰金物の落とし穴 |
平成17年11月 山川元志 |
| より安全な住宅をめざしてこと細かく金物指定が行われるようになった。中間検査も義務づけられ、今建築中の住宅はひとめ見てわかるように金物だらけである。普通に考えれば金物で補強すれば強くなると思う。誰も異論を挟むのは簡単ではない。しかしこの問題は日本の伝統的な住まいと文化に多大の影響を与えつつある。 金物補強は強度を上げる、しかし金物を取り付けるためにボートや釘孔が多くあくことによって、木材は欠損していることも忘れてはならない。欠損だけでなく、割れを助長し主要構造材の木材を弱めているのだ。古来、日本では金物類は木材を痛めるので出来るだけ金物や釘を使わないようにと工夫してきた、実際古い解体された木材では金物周囲から腐朽が進行していることが多い。鉄に付く結露が木を腐らせるからだ。 過剰金物にはいまひとつ大きな問題がある。構造材はどこもかしこも金物だらけなのは美しくないので、隠すような住宅が当たり前になっている。いわゆる柱も見えない、構造材も見えない大壁の住まいである。大壁の家では、日本産の檜や杉など「心持ち」の柱は使いにくいので、必然的に「心去り」の外材が主流となる。事実プレカットされた柱の多くはホワイトウッドという外材が集成されて使われていることが多い。このホワイトウッドという材はくせ者で柔らかくて乾燥されていて扱いやすいが、切れ端を森の中に放置すれば1週間でシロアリの巣になるという樹種である。その昔、公庫仕様なら絶対認められないような樹種である。それがいつの間にか、乾燥を必要以上に声高に叫ぶあまり、外国の圧力と無知な官僚のお陰で主流にのし上がったのだ。 構造用合板と石膏ボードでサンドイッチになった壁の中では、調湿力がないため、壁内結露が起こりやすい、そのため金物が過剰に打ち付けられたホワイトウッドという腐りやすい柱はおそらくその寿命は極めて短い。痛み始めた木材では金物の御利益も効かず、耐震強度も急速に劣化する。10年間問題がなければ、幸運と思うべきである。真壁を基調に檜など優良な木材を適材適所で活用すれば、恐らく100年は持つ住まいを、なんと知恵のない家造りを強要するのかと思う。 金物と大壁仕様の住まいでは、檜や杉や青森ヒバなど、日本の優良な木材は必ずしも必要ではないし、手間とコストだけがかかる、やっかいものである。そのため、徐々に使われなくなった日本の山は、どんどん寂れている。数寄屋風の住まいや、伝統的な木組みの町家も消えていくだろう。住まいの中で、柱の見える生活が消えていくのだ。また大壁の住まいでは、圧倒的にシックハウスになりやすいということも指摘しておかなければならない。本当は金物を減らした真壁でも充分、耐震性を確保することは可能で、国の一律管理が邪魔をしているのだ。今の建築基準法の耐震性が堅い大壁を前提としているのに対し、もう少し真壁でやや柔軟な耐震性能を前提とした住まい基準もあっていいと思うのだが。 |
|
HOME 戻 る |
|
| ムク木の家で暮らそう 有限会社 志 木 〒611-0042 京都府綴喜郡井手町柏原37(JR奈良線玉水駅前)TEL0774-82-2025 FAX0774-82-2208 |