| ムク木コラム |
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ローランドゴリラの悲しさ |
平成17年10月 山川元志 |
| ゴリラは繊細で繁殖の困難な高等動物である。そんなゴリラを飼育している人が、繁殖のうまくいっている米国の動物園を訪ねる話が、昨夜テレビで放映されていた。 10年以上も前、幼かった子供を連れて神戸の動物園に行ったことがある。寒々しいコンクリートの鉄格子の中に、1匹のローランドゴリラが入れられていた。ゴリラはたくましくかっこ良くて、とても大好きな動物なので興味があった。しかしあまりに寂しげで悲しげな表情だったので、立ち止まることも出来ず、早々とその場を過ぎ去った思い出がある。 今現在日本国内のゴリラの頭数は、12園で30頭程度にまで減少しているらしい。ちょうど神戸で見たような状況下で、大半は1園に1〜2頭の少数でゴリラは飼育されているのだろう。それに比し米国のその動物園は違っていた。自然な森、遊びの道具、だくさんの頭数、餌やりにも工夫が凝らされていて、週に2回はあちこちに餌を探させるような工夫、中には切った枝に孔を開け、干しぶどうを埋め込んであげていた。そうするとゴリラは上手に細枝を差し込んで食べるようになったという。藁を敷き込むと、えっさえっさと運んで自分独自の寝場所をつくるゴリラもいる。園の人は一日中退屈させないよう工夫を凝らしているのだという。退屈するとストレスが貯まるあからだという。こんな環境下で育てられているここのゴリラの過半は、この園で生まれたゴリラだという。 私達の住まいの多くが、昔の農家や職人さんの住まいと異なり、無機的な新建材やコンクリートの箱の中の単調な造りになっている。また核家族化も極まり一人暮らしが増えた現代、どこかかつて見た神戸のゴリラの悲しさが重なってくる。 地震で住まいも田畑も痛めつけられた山古志村の人々が、稲作を再開するドキュメンタリーを見る。厳しい現実だが、自然と向き合う生き生きとした表情が映されていた。道路端のふきのトウなどを採取し、山はいいですよ、ここはお金がいらないからと屈託のない表情のお母さん。都会のコンクリートジャングルの箱の中の人暮らす人、どちらが幸せなのか考えさせられる。 せめて日本にいるゴリラを1〜2ヶ所にまとめて、米国の動物園のような環境下で育てられないものかと思ってしまう。米国で出来るのに日本で何故出来ないのだろうか。心ある飼育者はいても、きっとそのような問題意識でプロデュースし実現できる人材がいないのだろうと思う。 |
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