ムク木コラム

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シックハウス法の欠陥について

平成16年6月
山川元志
平成15年シックハウス法が施行され、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質が規制される。
一歩前進と評価する向きもある。確かに何も対策がなかった時期から比べれば一歩前進ということになる。
しかしこれは大変甘い。甘すぎる評価だと思う。これでなんとか解決に向かうと消費者を錯覚させたとするならむしろ犯罪的ですらある。

文春新書で「化学物質過敏症」という本が出版されていて、下記のような体験談が紹介されている。
大手ハウスメーカで高気密高断熱の3階建ての住宅を建て、家族が化学物質過敏症になってしまった人の話である。
3階で飼っていたハムスターが異臭で死ぬ。メーカーに依頼してして調べてもらうと、ホルムアルデヒド濃度は0.64PPMと0.43PPMで厚生省のガイドラインの0.08PPMに比べ異常な数値。メーカはなかなかその情報を開示しなかったという。問題が明らかになるにつれ、メーカは換気する事を勧める。その後換気扇を設置。

この話はシックハウス法の考え方とよく似ている。つまりホルムアルデヒド濃度の下げた建材を勧める。
法では星の数で安全性を評価。またこれまで高気密高断熱を推奨してきた国が、今回の法では一転室内に多くの換気扇を義務づける。
いかにもハウスメーカーと建材メーカー主導で出来た法であることがよくわかる。
ハウスメーカーにとっては法以前は、法律に無かったので仕方ないという格好の口実を与えたことになる。

自然素材、ムク木で造られた住宅の場合どうか、近年は部屋の窓をあけると排気ガスが入り込んできて返って辛いと、過敏症気味の人は言う。つまりシックハウス法での無理強いの換気扇は迷惑先晩なのである。この点を「小泉メール」でただしても担当者から返答はまだない。
 
三菱自動車のリコールが話題になっているが、どうして住宅では情報が開示されないのかと思う。
シックハウス法は、きっとクレームがたくさん寄せられたからつくられたのだと思う。
だとするなら、どのメーカにどれだけどのようなクレームがだされたかを情報開示すべきだ。
車のタイヤが脱輪して通行人が亡くなられる。当然メーカの責任が問われる。
住宅では車よりもさらに一生の大金を使ったのに、自ら死ぬような思い、一生涯の苦しみすら味わう。
メーカーには犯罪の意図はなかったとしても、それだけ評判の悪い住まいを提供したという責任は免れない。
むしろそうした情報開示を早く適切にやっていれば、被害者も少なく済み、良い住まいは残り悪い住まいは淘汰されたはずだ。
それを行わず、国の指導という隠れ蓑を与えるシックハウス法はむしろ犯罪的ですらある。
 おまけに過敏症の人にとっては、0.08PPM という濃度よりさらに1/100以上低濃度でも苦しく何の指針にもならない。とるべき対策は住まいに関しては適切な情報開示で、淘汰を助長すること。建材や資材に関しては、有機リン系などの危険な物質は製造させないか、厳重管理下に置くよう早急に対策をとることではないか。今の法律はそうしたやるべき対策を行わず時間を延ばし、目をつむらせているだけと思う。

消費者も、「大手メーカーなら安心」などという安易な考えは捨てなければならない。自らの価値観と知識を総動員して住まいは購入すべきだ。そのためにも住宅の情報開示は必要である。

ちなみに先ほどの家族はその後、NHKに取り上げられたという圧力もあり、メーカー側の負担で低ホルムアルデヒドの建材へ大幅なリフォームを行う。
しかし第3者機関の測定では基準の10倍以上の濃度で一向に改善されない。
現代住宅の合板づけの住まいでは、いくら低い濃度のエコ建材を使ってもその効果はあまり期待出来ない。
このことはシックハウス法そのものの限界をも示していると思う。

私は安全を指し示すというシックハウス法の基本的な考え方に問題があると思う。病の原因、どんな病かも知らないで病気を治すようなそぶりをする医者のようなものだ。

しかし謙虚でありさえすれば自らの知識は薄弱でも対策はある。
危険な物が淘汰され、安全な物が広がるような対策。危険性の高い成分と製品は公表し売れなくするような対策。明らかに危険な物は権限で製造停止。そんな風な考え方なら可能ではないかと思う。むしろそれこそ行政のやるべき正道で求められていることである。わかっていてやらないそこにこの法律が欠陥法たる由縁である。

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