ムク木コラム

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 「ムク木」という名の由来
平成16年2月
山川元志
1995年(平成7年)5月、本物のフローリングの通信販売を始めた。
そのときつけた名前が「呼吸するムクのフローリングを低価格で直販」だった。広告の中で、「ムク」や「ムク木」という言葉を使っていたため、当時電話で相談を受けると「ムク木って何ですか」「ムクという木の名前ですか」などと聞かれたものである。 「椋(むく)」という木の名もあるが、ムクというのは漢字で表現すると「無垢」という言葉からいただいたものである。無垢というのは白無垢や無垢鞘などと言う言葉があるように、手垢の付いていない、塗装のされていないと言ったピュアなものという意味合いがある。

 当時床材と言えば多くは合板で、表面にだけミリ以下の薄い本物の材が貼られたものがほとんどだった。一方日本の高級住宅では、伝統的に「縁甲板」といって、一枚板の直材で縁側などには松系のフローリングが使われていた。このように本物もあるにはあったが高級品で、またこうしたフローリングですらウレタンやUV塗装など樹脂系の膜をつくる仕上げが一般的であった。傷が付きにくく、汚れにくいというわけである。
 
何とかもっと手頃にムク木のフローリングを使いたくて、一枚の直材ではないがUNI加工(数十センチの長さの材をフィンガージョイントでつなぎ182センチの長さに仕上げたもの)のフローリングを、タイや中国から条件をつけて輸入した。コンテナ輸入であることから、自社のみで使用するには量が多いので、通信販売で一般売りも始めることにした。
 
輸入品は無塗装でそのまま販売したが、仕上げ塗料として、呼吸性が残るドイツ製の自然塗料を推奨し、販売した。膜をつくる樹脂系の塗料とは異なり、木の呼吸性を残しながら、汚れがつきにくく、撥水性もある。そして何よりも仕上がり感が自然なのが気に入ったからである。
その時いくら本物の材でも、膜をつくる樹脂系の仕上げではなく、呼吸性が残るという趣旨で、無塗装的な意味合いに感じられる「無垢」ではなく「ムク」という言い方に「本物と呼吸性」という意味をを込めた。

それからというもの世の中の住宅も、低コストと効率一点張りで新建材ばかりで仕上げられることが加速する。そのためこうした合板やクロスといった呼吸性の無い住まいを「新建材の家」と呼び、私はあえて呼吸性を大切にした本物志向の住まいを「ムク木の家」と呼び区別するようにしている。
 
新建材の家は大壁仕上げが普通で、プレカットされた構造材は壁の中に隠される。人の目に触れない構造材は、造り易いというだけでシロアリに弱いホワイトウッドが多用され、耐久性が著しく悪い。そのためこうした家は、猛毒のシロアリ駆除剤が当たり前のように必要になる。室内仕上げもまた新建材のオンパレードで、化学物質は出るのに、それらを吸着脱臭できるものがない。また調湿性がないので、湿気やすく乾燥し易い。湿気が多いとカビやダニがはびこり、乾燥しすぎるとウイルスがはびこる。
アトピーや花粉症をはじめとしたアレルギーや化学物質汚染のシックハウスが増え続けているのはご存じの通りである。
 
 「ムク木の家」に「ムクのフローリング」「ムクの家具」が、私たちにとって、とても大切な住まいの基礎条件であることが理解されるときが必ずやって来るだろうと思う。これは無くてはならない大切な哲学(こだわり)である。またこの考えは、今進められているシックハウス法にもとづく、低ホルムアルデヒドの新建材推奨とは、まったく異なる考えであることも付け加えておきたい。エコ建材になっても決して私たちの健康は救われない。つまりシックハウス法が実施されてもシックハウスは無くならない。その違いを知ることこそ本当の住まいを知ることにつながると私は思う。       

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