ムク木コラム

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木の香りのする子

平成15年11月
山川元志

私の子供が学校へ行くと、「○○ちゃんは木の香りがする」と言われるという。「え!」そんなことがあるのかと思うが、事実らしい。子供は眼を閉じていても、△△ちゃんと□□ちゃんがいるとわかるらしい。どうも住まいのマンション特有の臭いがするようなのだ。そのためアーバン(マンション名)の子、エスタの子とわかってしまう。

大学時代、乗馬クラブにはいっていたことがある。馬と馬糞の臭いはかなりなものである。しかし、しばらく加入していると、慣れて、ほとんど匂わなくなる。ムク木の家を造っていても同じである。いつも木の中にいるとそれほども感じないものである。それでも、建築当初は、檜の香りがぷんぷんとする。削りたてで木の気化成分も多いのだろう。新築した建築主さんは殊の外喜んでいただける。

国には特有の匂いがあり、そこに住む人々は、特有の匂いを発しているものだと思う。同じ国に住む者同士なら気づかない匂いでも、他国の人なら、その国の人に共通の匂いを感じる。

アジアの香木やお香、西洋の香水など、人類の歴史は、神秘的なもの、より良い香り、また臭い消しにこだわってきた歴史でもある。日本人はその点、カビ気の多い風土にあって、生活の中に抗菌性の高い檜や赤杉、青森ヒバなどの木の香りに包まれることが最高の贅沢でもあった。知らず知らず近くにあるときは、気づかずに忘れてしまうこともあるが、失ってしまうと、改めてその大切さを知る。その繰り返しである。

子供が木の香りを発しているなど、思いもしなかったが、それだけ、マンションやプレハブの多いニュータウンの子供達が、木の香と縁遠い生活を送っている証でもある。そんな新興住宅に、花粉症などのアレルギー患者が多いその意味するところは大きい。

先日、半年前に建てた家を訪ねる。近頃は床板にナラなどを使うことが多いが、この家では檜のフローリングを使った。もちろん柱も12pの檜材。そうするとどうだろう、日頃木の匂いに慣れた私でも、ドアを開けたとたん、ものすごく心地よい檜の香りがする。古来、日本の代表的香木として君臨してきたこの材のすごさを、あらためて感じた次第である。しかし、これは本当は秘密にしたいのだが、本当はもっとすばらしい香りの香木が日本にはある。「高野(こうや)マキ」である。父が大切に貴重品として寝かせてあった、大きな盤をつかって、風呂桶を造ったことがる。
その時のほのかでさわやかな香りは、さらにまた格別である。

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Shiki ムク木の家で暮らそう
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