ムク木コラム

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檜の家は高いという業者を信じてはいけない

平成14年11月
山川元志
 日本経済は、デフレ脱却がなかなか出来ないでいる。世界がうらやむ、豊富な資金を持ちながらである。これは本当に世界に対する犯罪である。行政機構と、それにつながる金融業界のシステムと考えが変なのである。住宅もおなじである。
 設計図書があり、ムク木の家を建てたいと思っても、簡単には出来ない。価格と時間をいとわなければ可能かもしれないが、通常は、大きなカタログから、建材と住宅機器を選ぶ。時間と予算を節約するなら、構造はプレカットで済ましてしまうだろう。そうなると、出来上がる住まいも、ありきたりの新建材の家ができあがる。住宅メーカなら、商品である住宅を選ぶよう勧められる。こうした業者に、柱は出来れば檜でお願いしますと言うと、「檜の家は良いですが高いですよ」と必ず判で押したように言う。
 現実は、檜柱は、今びっくりするほど安い。戦後の植林で、檜と杉は今とれごろなのである。一生懸命手入れされた植林の木も、せっかく収穫期にはいった今、柱の見えない大壁の住まいがあたりまえで、どうせ隠れる柱なら、呼吸性の少ない、加工手間のかからない集成柱が使われ、檜の出番が、極端に少なくなってしまっているのである。
 呼吸する家には、柱の見える真壁の家が良い。見える柱には、檜材に優るものは無いと言っても言い過ぎとは思わない。それぐらい良材である。日本特産で世界に誇れるすぐれものである。そんな良材を否定する業者を信じてはいけない。
 11月2日、京都リビング新聞社の主催で「身体に優しい住いづくり」というタイトルで講演をさせていただいた。そのあとの質疑応答のなかに、どうすれば良い業者を見分けられるかという質問をいただいた。
 社会システムに問題がある以上、安全で、おいしい食材を手に入れるの簡単でないように、納得する住いを手に入れるのも簡単ではないということ。自らしっかりした価値観を育て、考えを共有する業者を探す必要があることを話させていただいた。また、檜普請といっても、せっかくの檜柱も隠されたり、檜でも、はりぼての和室をあてがわれ、檜のムクの床でも、平気でつまらぬコーティングをしてしまわれるので、言葉にだまされないように、と話させていただいた。提案として、見分けるコツは、「檜は高いですよ」という業者と「檜は今安いから12センチの太い柱を使いましょう」という業者とあなたはどちらを信頼するかである。あとは自らの価値観と基本が一致しているかどうかである。
 また、たとえ良心的な業者さんであっても、つくるシステムを育て、持ち合わせていなければ、希望をかなえることは、たいへん困難であることも申し添えておきたい。

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