ムク木コラム

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 ムク木の家へ

平成14年7月
「ムク木の家」というのをインターネットのGoogleで検索してみると、当社しか出てこない。
あまり一般的な言葉ではないのかなと思う。
一方、「ムクのフローリング」で検索すると、かなりな数が出てくるようだ。
木に志す志木としては、最近になってとくにムク木にこだわったワケではない。
明治以来「山川製材所」として木材業を零細ながら営んできたので、強いていえば明治以来ということになる。
むしろ4代目の私が住宅設計に携わり、一時期新建材を知らず知らず部分的に多用していた。
その反省から10数年前からより元のムク木に戻り始めたというべきだろう。

日本の今の住宅は米国で生まれたツーバイフォー住宅の影響を多分に受けている。
その最たるものは大壁と呼ばれ、柱や構造体が見えない造りである。
欧米ではログハウスやハーフティンバーなど構造体の見える住宅の伝統もあったが、その多くは新建材の発達とともに合理化住宅である大壁の家に席巻される。
日本では軸組工法へのこだわりから妙な変遷をだどる。
純粋に木質や軽量鉄骨のプレハブなどのように極めてツーバイフォーに近いものから、プレカットの発達によって軸組でありながら仕上げは大壁という住宅の発達である。
いずれにしても共通しているのは、仕上げが大壁で、新建材が多用されているということである。

日本には伝統的な軸組工法というのがある。
しかしいくら軸組工法でも仕上げが大壁で新建材ではつまらない。
「軸組工法で構造が見えかつムク木で呼吸する家」それをなんとか発展させる道はないものか、それが志木の、私の一貫したテーマであった。

ムク木仕様で造ることは材料費も高く、手間もより多くかかり、職人さんの高い技術も必要である。
それらはすべてコストがかかる。
それでは庶民的な住宅は不可能である。
そのため世間では「高級だが趣味人の造る家」と揶揄される始末である。 
しかし時代の変遷というのは面白いものである。
あれほど高かったヒノキの柱が使われなくなったために安くなった。
技術は機械化でかなりカバーできるようになった。
さらに手間も機械化やムクのフローリングのように海外の安い手間も活用できるようになった。
あとは流通コストを下げ、必要以上の設計などのコストを切り詰めれば、かなり手に入る価格でムク木の家の取得は可能である。
最後まで残る問題は、ムク木というものに対する正しい理解と認識が建築主と供給者には必要である。
とりわけ建築主には見抜く力が必要である。

アレルギーという人類が直面する新たな問題は、人間の住まいとしての原点とは何かを問いかけている。
それは決して供給者側に都合の良い新建材を多用する造り方では決してない。
人間が呼吸する器に住んできたという遺伝子はそう簡単には変わらない。
またムク木の家は耐久性も何倍も高く、資源の有効利用からみても重要である。
そのためムク木の家が当たり前の時代がいつの日か再び必ず来ると私は信じている。
そのときにはきっと、検索しても志木の名前はなかなか出てこないのだろうと思う。  


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