ムク木コラム

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ムクのフローリングで床暖房は出来るか


平成14年7月
山川元志
こうした疑問質問が寄せられることが多い。
リビングの仕上げにフローリングを使用するのが一般化するなか、床暖房にしたいという希望が増えてきた。
その場合、床材の選択でまず対象になるのは、建材メーカから出されている床暖用の床材である。
床暖用の合板系の床材は、下地のベニヤの乾燥度をあげ接着剤も耐熱性のものを使用することによって対応したものである。それだけに、そり・ゆがみの問題は少ないようである。
しかしながらこれらは高額であること、健康志向の高まりで出来れば「合理的価格のムク木で」という思いからこうした問い合わせが増えている。
志木では、ムクのフローリングを販売しているが、実は床暖用というのは無い。
しかし床暖に使っていないかというとそうではなく、一般のお客さんもかなり利用されているようだし、当社で行う設計・施工においても、温水用の床暖房では20例程度の実績があるが、すべてこうしたムクのフローリングを使用している。
 しかし、「ムク木で床暖用のフローリングはありますか?」と聞かれたら、「ありません」と答える。 
「床暖に使っても大丈夫ですか?」と聞かれたら、「痩せますし、若干は狂うと思います。」と答える。
「どの程度ですか?」と聞かれたら、「一日10時間も連続して床暖房すれば2〜3ミリは空きますが、1〜2時間で間合いをおいて暖房すれば、それほど隙間は目立たないと思います。また、こうした隙は季節外には戻ってくると思います」と答えている。
ムク木で床暖用として工夫されたものもある。これらは乾燥度を高めたり、塗装によって呼吸性を止めたり、隙間が目立たないように断面意匠で工夫するなどしているようである。
志木では乾燥を高めすぎた床板は、リスクも大きいと考えている。というのは、きちんと人工乾燥されたフローリングの使用では、やせの問題より膨張の問題のほうが実は怖いのである。
湿気の多い現場で使用されたり、乾燥した季節にあまりに密着して施工すると、雨期には床板の膨張によって床がせりあがる問題が発生する。
それだけに乾燥度を異常に高めると、含水率が14%程度に戻ろうとする力も大きいと考えられるからである。
乾燥度を5〜6%まで下げると大きく動かないという説もあるが、体験的には信じがたいこといえることが間々あった。
そのためこうしたものは、膨張リスクがより高いと思っている。
次に、やせを止めるような塗装についてであるが、ムク木は呼吸性を残してこそその価値があると信じているので、論外とさせてもらう。よって呼吸性を残し膨張しない良い方法でもあれば別だが、残された方法は巾の狭いフローリングを使ったり、断面形状で工夫するしか無いようである。 
結論的に言えることは、コストが安く健康的で、実用上さほど問題なければ、きちんとした人工乾燥のなされたものなら、私はムクのフローリングを使うし、それを実践してきた。
調湿する木の動きは、湿度を調整し、暑い盛りは涼しく、臭いを吸着し、結露を無くしダニカビ気を減らす。 
要するに、室内に暮らす私たちのかけがえのない味方ということである。
これに比べれば、それ以外の問題はあまりに小さいと思うからである。
理解ある広い心でムク木と向き合えない方には、ムクのフローリングを決して勧めることはしない。


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